「電動フォークリフト問題」の解決とは、省エネ法対策と同じで、法律を遵守することをいいます。

電動機で動く車両の取扱について、充電設備が動力なのか、

あるいは車両が動力なのかという問題です。

充電設備を電源設備と証明できれば、本問題は簡単に解決します。



平成17年 公正取引委員会への相談


平成17年1月27日
公正取引委員会委員長への要望書と回答文書

公正取引委員会からの回答
公正取引委員会からの回答


私は次の事柄について、「不当表示」に当たると考えていますので、貴委員会において調査され、改善するようご指導願います。
                 記

1 不当表示を行っている会社名

  東京電力株式会社

2 不当表示箇所          

  平成16年10月1日実施電気供給約款

  3 定義

  (4) 小型機器
    主として住宅,店舗,事務所等において単相で使用される,電灯以外の

    低圧の電気機器をいいます。ただし,
    ①急激な電圧の変動等により他のお客さまの電灯の使用を妨害し,

     または妨害するおそれがあり,電灯と併用できないものは除きます。
  (5) 動力
    ②電灯および小型機器以外の電気機器をいいます。
  20 業務用電力
  (1) 適用範囲
    高圧で電気の供給を受けて,電灯もしくは小型機器を使用し,または電灯も

    しくは小型機器と動力とをあわせて使用する需要

    たとえば(事務所官公庁,学校,研究所,病院,新聞社,放送局,娯楽場,

    旅館,飲食店,商店,百貨店,③倉庫,寺院,アパート,トンネル等があり

    ます)で,次。のいずれかに該当するものに適用いたします。

 

3.改善要望
①容量が記載されておらず不明確であるので、例えば「原則として単相機器容量

 3キロワット以上」などと、明確にしていただきたい。

②負荷設備でない電源設備を適用されると、約款の根幹に関わる問題となるので

 例えば「電源設備は含まない」と追加していただきたい。
③実質、契約種別「高圧電力」適用の倉庫が多数存在することもあり、誤解を招

 くので「倉庫を削除」していただきたい。
以上

 



↑当時の上記要望書の内容が曖昧です。  現在(2017/08/20)は蓄電池について法整備されたため、各電力会社(東北電力、東京電力、中部電力、関西電力)及び監督官庁である資源エネルギー庁電力市場整備課の法律・約款違反行為を明確に示すことができます。



添付資料

1.当該事業所の電力使用状況
当該事業所は「食料品の多頻度少量物流に対応し、手間とコストのかかる作業を集中処理」するため、数キロに及ぶコンベアラインと自動仕分け装置などを装備した物流と定温物流をあわせた事業所である。
電力使用状況でいえば、動力用変圧器1,300KVA、電灯用変圧器900KVAを有し、年間電気使用量が約240万kwhにもなる物流センターである。

2.平成13年6月6日付東京電力株式会社埼玉支店からの文書回答

当該事業所(需要家名削除)について現地を確認させていただきましたところ、
(注1)商品の保管場所(1F.3F.4F)において使用されている電灯は、(注2)動力であるベルトコンベアおよび自動仕分け機ならびに空調設備を使用 するために直接必要な電灯その他これに準ずるものではないため、「電気供給約款3定義(6)付帯電灯」には該当しないと判断されます。
このため、お客さまは電灯もしくは小型機器と動力とをあわせて使用する需要であると判断されることから、ご契約種別につきましては、従来どおり「業務用電力」を適用させていただきます。
 なお、(注3)電気供給約款においては、当社の電力系統と電気的に接続され、かつ当社からの電気の供給と使用が同時に行われる電気機器が負荷設備となり、電動フォークリフトについていえば、充電器が負荷設備となります。
これにより、(注4)お客さまの電動フォークリフトの充電器につきましては、充電時において3相で使用されることから、電気機器としては動力に該当するこ ととなります。一方、(注5)稼働中の電動フォークリフトにつきましては、負荷設備に該当しないため、付帯電灯は認められません。


 注1)商品の保管場所(1F.3F.4F)について
1F:東京電力によれば、1Fのある一部で常温で扱う商品の中で、コンベア及び自動仕分け機を介さない、電動フォークリフトのみを使用する保管場所があ る。   3F.4F:定温で酒類を扱う3Fおよび4Fが電動フォークリフトだけで作業をしている、この場合、温度管理に用いる空調設備および商品を搬送する垂直搬 送機は、対象とならないと指摘。

 

3.東京電力回答文書の約款上の整理

(1)容量および電力使用形態から考える

  東京電力の指摘した保管場所の電灯は全体電力需要の観点からいえば、わずか数パーセントにとどまることは明らかであろう、さらに指摘した1Fの保管場所に ついていえば、その商品の殆どがコンベアおよび自動仕分け機を介することは現場担当者の意見で確認されている、また、3F.4Fは商品の温度管理が不可欠 である点、垂直搬送機を介さなければ入出庫ができない点において動力との関わりは必然である。
電力使用形態の観点からいえば、この保管場所は独立した使用形態とはいえず、他の電力使用形態と一にするものと考えざるを得ない。


(2)「(注2)動力であるベルトコンベアおよび自動仕分け機ならびに空調設備」の約款に示される「動力」とする根拠は何か

  ベルトコンベアおよび自動仕分け機ならびに空調設備は「動力」として約款に記載されてはいない。
しかしそれらを動かす三相誘導電動機は記載されている。東京電力の電気供給約款(平成12年10月1日)の動力の定義では「電灯および小型機器以外の電気 機器をいいます。」となっており、明確な理解は得られない。 そこで「動力需要」である低圧電力に関する記載を探す。
   
平成10年2月10日実施電気供給約款20(低圧電力)(5)ハ中段「電気機器の力率は、別表3(進相用コンデンサ取付容量基準表)の基準により所要の進 相用コンデンサが取り付けてあるものについては90パーセント、取り付けていないものについては80パーセント、電熱器については100パーセントといた します」さらに、別表3には、「(1)3相誘導電動機(200ボルト用)、(2)電気溶接機(200ボルト用)」が記載されている。つまり、約款上で示さ れる「動力」とは3相誘導電動機を代表格に産業用の電気溶接機および電熱器をいうのである。

因みに、「単相誘導電動機」は同取扱細則33力率の保持(3)「3相誘導電動機および電気溶接機以外の電気機器については、付表3(進相用コンデンサ取付 容量基準)によります」とあり、さらに、付表3には、「単相誘導電動機、蛍光灯、ネオン管灯、水銀灯」と記載されていることから、「小型機器」と理解でき る。

(3)「(注3)電気供給約款においては、当社の電力系統と電気的に接続され、かつ当社からの電気の供給と使用が同時に行われる電気機器が負荷設備となり、電動フォークリフトについていえば、充電器が負荷設備となります。」は正しいか

  負荷設備とは、電灯、小型機器、動力をいい、実際に東京電力の電気を消費する機器をいう。例えば電灯とは蛍光灯、白熱灯、水銀灯、ネオン管等、照明器具を いい、小型機器とは「単相で使用する電灯以外の電気機器」をいう、例えば家庭用のテレビ、冷蔵庫、空調機、換気扇等をいう。昨今ではノートパソコン、コ ピー機、ファックス、携帯電話などがある。さらに動力とは3相誘導電動機はもとより、産業用で用いられる電気溶接機、電熱器などがある。

  電動フォークリフトの電気機器は次のようなもので構成されている。
①電源装置としての充電器(整流器、変圧器)、バッテリー
②走行および荷役のための電動機、
③および運転する際の各表示灯、制御機器などである。

  充電器は交流から直流に変換する整流機能と200ボルト電圧からバッテリー電圧(例えば48ボルト)に変圧する機能を有し、放電したバッテリーに充電する ものである。当然、バッテリーの放電(消費)は 電動機の稼働時に行われる。電動フォークリフトに用いられる電動機は現在「直流電動機」が主流であるが、現在は、技術革新に伴い、交流3相誘導電動機を採 用するものが出現している。

東京電力の文章中の最大の欠陥は、「充電器」だけでは「電気の供給および使用(消費)」が物理的にあり得ないということである。例えば、ノートパソコンに 用いるACアダプター(直流電源装置)は充電器と原理は同じであるが、このACアダプターだけをコンセントに差し込んでも、電気の供給も消費も起こらない のである。勿論、ここでは損失の話は論じない。

また、「電気の供給と使用が同時に行われる電気機器」が負荷設備とするのであれば、バッテリーを利用する電気機器はすべて負荷設備でないということにな る。非常用照明、携帯電話、携帯用パソコンなどあげたらきりがない。東京電力の意見を尊重すれば、充電器はある時は「動力」といい、又あるときは「小型機 器」となり、最後には「電灯」ということになる。

約款ではこの移動および携帯する電気機器について、電気供給約款(平成12年10月1日実施)別表3負荷設備の入力換算容量(3)レントゲン装置の表で は、装置種別(携帯型および移動型を含みます。)と明記し、「蓄電器放電式診察用装置」の入力換算を記載している。「供給と使用が同時でない」これらの機 器も負荷設備として記載されている。使用するレントゲン装置が「動力」なのか「小型機器」なのかについては、その機器の技術的要因(同約款3定義(4)小 型機器)より判断される。

東京電力の主張は、充電器の機能(整流、変圧)を直視すれば、産業界で使用される直流電動機は「動力」ではなく、整流器が「動力」であるということにな る。さらに、広く用いられるインバータの二次側に接続される電動機は「動力」ではなく、コンバータ(交流から直流に変換)部分が「動力」ということにな る。

(4)「(注4)お客さまの電動フォークリフトの充電器につきましては、充電時において3相で使用されることから、電気機器としては動力に該当する」は正しいか

前述したとおり、約款では3相誘導電動機、産業用で用いる電気溶接機、電熱器を「動力」として記載している。「動力」の条件として3相電源を使用することは一般的であるが、「3相電源を使用する形態」だけで「動力」とすることが正しいのかという点である。

電気供給約款(平成12年10月1日実施)21低圧電力(6)その他によれば「変圧器、発電設備等を介して、電灯または小型機器を使用することはできませ ん」とし、3相電源で使用する形態よりも、使用する負荷設備の実体(電灯か、小型機器か、動力か)を問題にしているのである。さらに「電灯・小型機器需 要」である同約款17従量電灯(3)従量電灯Cイ(ロ)ロには、「技術上または当社の供給設備の都合でやむを得ない場合には、交流3相3線式標準電圧 200ボルトとすることがあります」とあり、逆に「動力需要」である同約款21低圧電力(2)にも「技術上やむを得ない場合には、交流単相2線式標準電圧 100ボルトもしくは200ボルトまたは交流単相3線式標準電圧100ボルトおよび200ボルトとすることがあります」と記してある。

つまり、単相供給か、3相供給かだけでは、「動力」なのかどうかを判断できないのである。電熱器や電気溶接機は単相で使用できるからである。

以上のことから、「3相電源を使用する形態」だけで「動力」と判断することは誤りであることが理解できる。




(5)「(注5)稼働中の電動フォークリフトにつきましては、負荷設備に該当しないため、付帯電灯は認められません。」にはどんな意図があるのか

電動フォークリフトの電源装置である「充電器部分」が「動力」なのか、走行および荷役に使用する「電動機」が「動力」なのかは、重要な問題である。付帯電 灯の定義は「動力を使用するために直接必要な作業用の電灯その他これに準じるもの」となっており、「充電器部分」を「動力」とすれば、電動フォークリフト による荷役作業用の電灯は不必要になる。充電時には、基本的に電動フォークリフトによる荷役作業は行われない。

例えば、荷役作業のない夜間および昼間の休憩時間等に充電されるからである。「稼働中の電動フォークリフトにつきましては、負荷設備に該当しない」とは、 どういうことなのか。電動フォークリフトの使用目的は荷役作業である。この荷役作業は、電動機を稼働してはじめて可能となる。

つまり、東京電力の意見は、「電動機は負荷設備ではない」ということであり、約款上の説明では「電動機は動力ではない」ということになる。要約していえ ば、「電源装置である充電器が動力であり、電動機は動力ではない、従って、バッテリーに充電している時が動力を使用することとなり、充電時に必要な電灯の みが付帯電灯となる」ということである。そして、東京電力が主張する1F.3F.4F部分の荷役作業のための電灯が「動力作業に付帯しない電灯」となり、 電灯・動力併用需要である「業務用適用要因」が完成する。


4.東京電力回答文書の約款違反および作為的運用

 (1)電気供給約款違反
東京電力の主張は以下の点において約款違反である。
イ.電気供給約款には3相誘導電動機が動力として記載されている。つまり、電動フォークリフトの場合、荷役作業時に稼働する電動機が動力である。
ロ.電気供給約款には移動および携帯の電気機器も負荷設備としている点において、バッテリーを電源とする電気機器を否定していない。
ハ.付帯電灯の定義は、動力を使用する作業の上で必要な電灯をいうのであって電源装置に付帯することを定義したものではない。
ニ.当社の電力系統と電気的に接続され、かつ当社からの電気の供給と使用が同時に行われる電気機器が負荷設備とする意見は、東京電力の電気供給約款に記載 されていないばかりか、逆に、約款に明記されている電灯需要、動力需要、電灯動力併用需要の区分の基準となる負荷設備特性(電灯、小型機器、動力の各特 性)を無視することになる。

 (2)作為的運用
動力でない電源装置を動力といい、さらにみずからの約款に違反して割増の電気料金を課そうとする姿勢は、極めて悪質であり、組織的犯罪の感がある。さらに電力自由化に伴うルール遵守は必然であり、国際社会における日本の電力会社の責任でもある。